佐藤俊平(2022-2023年度会長)

会長挨拶

 

この度、サケ学研究会会長に就任しました、水産資源研究所さけます部門の佐藤俊平です。2006年の設立以来、発展を遂げてきた本研究会の舵取りという重責を担うこととなりました。精一杯頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 

日本には、水産資源として重要なサケ・カラフトマス・サクラマス、釣り人を魅了してやまないイワナ・オショロコマ・サツキマス、日本の固有種であるビワマス、その巨体が見る人の目を引きつけるイトウなど、多様なさけ・ます類が生息しています。またその生態も多種多様であることから、数多くの研究者に魅力的な研究対象として選ばれてきました。さらに、さけ・ます類の中でもサケは古来より様々な形で人々に利用されてきたため、日本各地でサケにまつわる行事や伝承が存在しており、歴史的・文化人類学的な側面からも興味が尽きません。このように、さけ・ます類は日本人にとって切っても切れない関係にあるといえるでしょう。しかし、近年日本のさけ・ます類を取り巻く状況は厳しさを増しているといえます。北海道や本州太平洋ではサケの回帰資源量の急減が大きな社会問題となっていますし、地球温暖化が渓流域に生息するイワナやオショロコマの分布域に与える影響も危惧されています。また、2021年夏の猛暑により北海道の河川で多数のイトウが斃死し、その貴重な個体群の存続が危ぶまれています。サケ学研究会では、現在日本のさけ・ます類が直面している様々な問題について、科学的に検証し理解を深めていくとともに、我々が今何をすべきかについて、様々な立場から自由に議論できる場を提供していきたいと考えています。

 

新型コロナウイルス感染症が全世界に広がって2年ほど経過しましたが、この間「新しい生活様式」が定着しつつあります。サケ学研究会でもこの2年間はオンライン形式による特別セミナーや研究集会の開催など、コロナ前とは異なる方法で活動を続けてきました。オンライン形式は移動時間の節約や遠方からの無理のない参加が可能となるなどメリットもありますが、参加者が直接顔をあわせ(時にグラス片手に)さけ・ます類について議論を深めたり、その場の熱気を共有したりするという点においては、対面形式に勝るものはないとも感じています。今後は新型コロナウイルスの状況を確認しながら、オンラインのよい部分を取り入れつつ、対面による研究集会の開催を目指していきたいと考えています。これからも会員の皆様に満足してもらえるような運営をしていきたいと思いますので、ご協力をどうぞよろしくお願いします。